総合支援資金は、生活に困窮している人に向けた公的融資制度です。
貸し付けにはさまざまな条件があり、審査落ちとなることもあります。
どのような場合に審査落ちとなってしまうのか、審査落ちで貸し付けを受けられない場合、どうしたら良いのか知りたい方もいるでしょう。
この記事では、総合支援資金の審査落ちの理由や、落ちたときの対処法、ほかに利用できる資金調達方法を紹介します。
総合支援資金が対象外で利用できない方も、ぜひ参考にしてください。
総合支援資金の貸付条件とは?
総合支援資金は、生活困窮者自立支援法に基づく生活福祉資金貸付制度で、地域の社会福祉協議会を窓口として運営されている公的融資です。
資金の目的により3種類に分けられるので、それぞれの概要や貸付条件、貸付対象者について解説します。
総合支援資金の種類
総合支援資金には、生活支援費・住宅入居費・一時生活再建費の3種類が設けられています。
生活支援費 | 生活支援費は、失業などにより生活が困窮した世帯に対して、生活を再建できるまでに必要な生活費の貸し付けを行なう制度です。再就職後の返済を想定しています。 |
住宅入居費 | 住宅入居費は、敷金・礼金など、住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用の貸し付けを行なう制度です。おもに住居確保給付金の支給申請者を対象としています。貸付資金は直接不動産会社や家主の口座に入金されます。 |
一時生活再建費 | 一時生活再建費は、生活を再建するために一時的に必要ながら生活費でまかなうことが困難な費用の貸し付けを行なう制度です。債務整理に必要な費用や、滞納している公共料金の立て替え費用、就職のための技能習得費用などを貸し付けます。 |
ほかにも、新型コロナウイルス感染症の影響で失業や収入が減少した世帯で、総合支援資金の返済時になお所得の減少が続いている場合、返済が免除される特例措置が設けられていました。
申請受付は2022年9月30日で終了しています。
総合支援資金の貸付内容
総合支援資金は、種類ごとに貸付上限額・貸付期間・据置期間が設定されています。
以下、貸付内容を表にまとめました。
貸付上限額 | 貸付期間 | 据置期間 | |
生活支援費 | 2人以上の世帯: 月20万円以内 単身:月15万円以内 | 原則3ヵ月、最長12ヵ月 | 最終貸付日から6ヵ月以内 |
住宅入居費 | 40万円以内 | 一括貸付 | 貸付日(生活支援費も受けている場合はその最終貸付日)から6ヵ月以内 |
一時生活再建費 | 60万円以内 |
いずれも、償還期限(返済期限)は据置期間経過後10年以内で、貸付利子については、連帯保証人を立てられる場合は無利子、連帯保証人を立てられない場合は年1.5%です。
総合支援資金を借りられる人
総合支援資金を借りられるのは、生活福祉資金貸付制度の対象であり、かつ総合支援資金の貸付条件を満たす世帯です。
生活福祉資金貸付制度の対象者 | |
低所得世帯 | 市町村民税非課税に相当する世帯 |
障がい者世帯 | 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付のある世帯 |
高齢者世帯 | 65歳以上の高齢者がいる世帯 |
総合支援資金のおもな貸付条件 |
・生活の立て直しのために生活費などの資金が必要で、貸し付けにより自立が見込まれること ・申込者の本人確認が可能であること ・住居があるか、住居の確保が確実であること ・貸し付け後に返済が見込まれること ・原則、ほかの公的給付や公的貸付を受けていないこと |
また、総合支援資金の貸し付けを受けるには、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援を受ける必要があります。
生活再建に向けた支援プラン作成や、自立計画に基づく定期的な面接のほか、就職活動の報告などを行ない、これらの取り組みの確認後、貸付金が送金されます。
総合支援資金に審査落ちする6つの理由
総合支援資金の貸し付けでは、地域の社会福祉協議会が定めた基準に基づいて審査が行なわれます。
審査の明確な基準は公表されていませんが、貸付条件を鑑みると、以下に該当する場合に審査落ちになると考えられます。
ほかの公的支援を受けている
総合支援資金は、ほかの公的支援を受けられず生活費をまかなえない世帯を対象としています。
そのため、以下にあてはまる場合は貸付対象となりません。
- 生活保護世帯
- 年金受給者
- 失業等給付、職業訓練受講給付金などの受給者がいる世帯
ただし、生活保護世帯の場合は、生活保護費以外の収入があり、福祉事務所が特に必要と認めている場合のみ、貸付対象になる可能性があります。
該当する場合は、申請前に担当ケースワーカーへの相談が必要です。
就労の努力をしていない
総合支援資金の貸し付けを受けられるのは、貸し付けにより自立が見込まれる世帯です。
そのため、申込者が就労の努力をしていないと判断される場合、貸し付けは受けられません。
申込時に無職でハローワークへの求職登録がない人や、再就職への意思がはっきりしない人、そもそも求職活動が困難な人などがこれに該当します。
離職から2年以上経過している場合にも、働く意思がないとみなされることがあるので注意しましょう。
また、総合支援資金は就労を前提とした制度のため、自営業者の場合は本人が事業を継続していると審査に通りません。
事業を廃止し、就職活動を予定している必要があります。
所得制限を超えている
総合支援資金は、生活に困窮している人の生活を立て直すことを目的としていますが、生活が苦しいと感じていても、一定以上の所得があると貸し付けの対象外となります。
なお、生活福祉資金貸付制度は「世帯」が対象となる制度のため、世帯内に十分な収入があれば貸し付けを受けられません。
申込者本人の状況のみで判断されるわけではないため注意しましょう。
収入が十分とされる基準は、生活保護法の生活扶助基準をもとに設定されており、基準を超える収入がある世帯は貸し付けの対象外です。
詳細は地域の社会福祉協議会で確認しましょう。
すでに金融機関からの借り入れがある
総合支援資金は返済を前提とした支援制度です。
すでに金融機関からの借り入れがある場合、総合支援資金の貸し付けを受けると世帯負担が増えます。
その結果、返済が期待できなくなるおそれがあるため、貸し付けの対象にはなりません。
複数の金融機関から借り入れをしているような場合も、審査通過は難しいでしょう。
また、借り入れの返済や借り換えを目的とした利用も認められません。
債務整理を予定している
自己破産や民事再生など、債務整理の手続き中やその予定がある場合も審査には通りません。
ただし、これから債務整理を行なう予定でその手続費用に困っている場合には、一時生活再建費の貸付対象となります。
また、すでに自己破産をしていて免責決定が出ている場合は、総合支援資金の貸付対象です。
免責決定から1年未満の場合は、連帯保証人の設定が条件となる場合があります。
虚偽の申請をしている
申請時に年収を低く記入していたり、就業していることを隠していたりした場合は、不正利用と判断され審査落ちになるといわれています。
また、あとから虚偽の申請が判明した場合には、一括返済を求められるため、必ず正しい内容で申請しましょう。
総合支援資金に審査落ちした場合に取れる対処法は?
総合支援資金を申請したものの、審査に落ちてしまった場合の対処法を紹介します。
総合支援資金の貸付対象でない方も、ぜひ参考にしてください。
ほかの公的支援制度を検討する
生活福祉資金貸付制度には、総合支援資金以外の種類もあります。
例えば、条件が合うなら以下の制度も検討の対象となるでしょう。
不動産担保型生活資金:低所得の高齢者を対象に、所有する土地を担保に生活資金を貸し付ける制度
緊急小口資金(福祉資金):一時的な生活困難時に少額の貸し付けを行なう制度
また、母子家庭や父子家庭の場合には、以下の制度を利用できる可能性があります。
母子父子寡婦福祉資金貸付金:20歳未満の児童を扶養する配偶者のない父母や寡婦などに、目的に応じた貸し付けを行なう制度
なお、母子父子寡婦福祉資金貸付金の対象者の場合は、生活福祉資金貸付制度より優先して利用しなければなりません。
このほかにも、生活保護などさまざまな公的支援制度があります。
審査落ちの際に、利用できる制度を紹介してもらえることもあるので、確認しておきましょう。
民間金融機関からの融資を受ける
総合支援資金の条件を満たせず貸付対象とならない場合には、フリーローンなど民間の金融機関からの融資を受ける方法もあります。
定職に就いており安定した収入がある場合は、フリーローンを利用できる可能性が高いです。
フリーローンで融資を受けるメリット・デメリット
民間金融機関の融資は、総合支援資金などの公的融資とは異なる特徴があるため、利用にあたって十分な理解が必要です。
ここからは、フリーローンで融資を受けるメリット・デメリットを紹介します。
スピーディーな融資
フリーローンの大きなメリットは、申し込みから融資までに時間がかからないことです。
総合支援資金は申請から貸し付けまで、約1ヵ月を要します。
そのため、今すぐに生活費が必要という場合には対応できません。
フリーローンなら、必要になったそのときに、ご利用の銀行口座に振り込みが可能です。
最短で当日借り入れができる金融機関もあり、急ぎの資金調達に利用できます。
公的援助を受けていても借り入れができる
総合支援資金は最終的なセーフティネットとして位置付けられており、ほかの公的援助を受けていると原則利用できません。
しかし、フリーローンは公的援助とは無関係のため、問題なく併用できます。
フリーローンも借り入れにあたって所定の審査がありますが、定期的な収入があれば申し込みが可能です。
金利負担は総合支援資金よりも大きくなる
フリーローンのデメリットとして、金利負担が大きくなることが挙げられます。
総合支援資金は、連帯保証人を立てられれば無利子、連帯保証人なしでも利率は年1.5%と低めです。
一方、フリーローンは、利息制限法により貸付金額に応じて15.0~20.0%の上限金利が設定されています。
実際のローン商品では、審査結果に応じて4.8~18.0%となり、総合支援資金よりも金利負担が大きくなることを念頭に置くことが必要です。
まとめ
総合支援資金は、失業や収入減少で生活に困窮している場合に利用できる、公的な融資制度です。
細かな貸付条件はありますが、無利子もしくは利率年1.5%での借り入れができます。
貸付条件を満たす場合には、地域の社会福祉協議会に相談してみましょう。
総合支援資金に審査落ちした方や貸付対象とならない方は、金融機関のフリーローンを利用する方法もあります。
「いつも」のフリーローンは、インターネットから24時間365日いつでもお申し込みいただけます。
また、即日融資も可能なスピード対応で、申し込みから最短45分で融資可能なケースもあり、急ぎでお金が必要なときにも便利です。
「いつも」はお客様のご事情を考慮し、柔軟な審査を行なっています。
すでに借り入れがある方もお気軽にご相談ください。
名前:金子 賢司(かねこ・けんじ)
所有資格:CFP住宅ローンアドバイザー/生命保険協会認定FP/損保プランナー
おもなキャリア:東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強をはじめる。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。