新型コロナウイルス感染症関連の中小企業支援で、国からお金を借りる制度がクローズアップされました。
個人に対しても同様の制度があるのか、急ぐ場合に借り入れできるのか知りたい方は多いのではないでしょうか。
国の貸付制度は申請主義であるため、どのような制度があるか知らなければ活用できません。
まずはそれらを知ったうえで、利用できる場合には利用するほうが賢明です。
しかし、国からの借り入れには時間がかかります。
この記事では、国からお金を借りる制度について解説します。
どういう場合に借り入れできる?国からお金を借りる制度を紹介
ここからは、国からお金を借りられるおもな制度を紹介します。
(2022年12月1日現在。給付金、事業資金貸付、2022年9月30日に受け付けを終了した「生活福祉資金の特例貸付」など、新型コロナ関連の支援制度を除きます。)
制度については、各項目に記載しているURLからも確認可能です。
生活福祉資金貸付制度
生活福祉資金貸付制度は総合支援資金、福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金の4種類からなり、それらは貸し付け目的によってさらに細分化されています。
制度が対象とするのは、「必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯」「身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者等の属する世帯」「65歳以上の高齢者の属する世帯」(引用:厚生労働省)です。
実施主体は都道府県の社会福祉協議会で、申込先は市区町村の社会福祉協議会となります。国の融資制度のなかでは、最も幅広い属性の方が利用できる制度です。
引用・参考:厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」
「生活福祉資金貸付条件等一覧」
総合支援資金には3種類あります。
生活再建までの間に必要な生活費用となる「生活支援費」、敷金・礼金など住宅賃貸契約に必要な費用を貸す「住宅入居費」と「一時生活再建費」です。
3つ目の一時生活再建費は、生活再建のために一時的に必要かつ日常生活費で賄えない費用、就職・転職を前提とする技能習得の費用、滞納している公共料金などの立て替え費用、債務整理に必要な費用などに充てるための貸し付けです。
福祉資金の内訳として、福祉費と緊急小口資金があります。
緊急小口資金の名称はコロナ特例として知られるようになりましたが、もともとあった制度です。
福祉費の資金使途は、生業を営むための必要経費、住宅の増改築費、福祉用具の購入費、負傷や疾病の療養費、冠婚葬祭費用、災害のため臨時に必要となった費用、その他日常生活上一時的に必要な費用などと、広範囲です。
緊急小口資金は、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に、無利息で借り入れできる少額資金です。
できる限り迅速に生活費を届けるための制度なので、他の公的融資に比べて借り入れまでの日数を短くするよう配慮されています。
教育支援資金は低所得世帯向けの融資で、世帯から連帯借受人を立てることが必要です。
教育支援費と就学支度費の2種類があります。
教育支援費は世帯員が高等学校・大学・高等専門学校で学ぶための費用として貸し付けられ、限度額が月額で定められています。
就学支度費は、入学に必要な費用を貸す制度です。
不動産担保型生活資金は、一定の居住用不動産を担保として高齢者世帯に貸し付けを行なう制度です。
内訳として、低所得の高齢者世帯を対象とする不動産担保型生活資金と、要保護の高齢者世帯を対象とする要保護世帯向け不動産担保型生活資金の2種類があります。
民間のリバースモーゲージと同じで、利用者の死亡後に担保不動産を売却した資金を返済に充当する仕組みです。
要保護世帯向けは保証人不要となっています。
教育一般貸付
教育一般貸付の対象者は、幅広い教育機関に入学または在学する方の保護者(おもに生計維持者)で、世帯年収が上限額以内の方です。
先に紹介した生活福祉資金貸付と違って、低所得世帯でなくても借りられます。
高等学校や大学はもちろん、大学院・専門学校・各種学校・予備校や海外の学校なども対象です。
沖縄県以外に住む方の申込先は株式会社日本政策金融公庫で、沖縄県に住む方は沖縄振興開発金融公庫です。
ひとり親世帯への貸付制度
2つの制度を紹介します。
「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」は、20歳未満の児童を扶養している配偶者のいない方や寡婦などに、事業資金・技能習得資金・児童の修学資金・医療介護資金・生活資金など幅広い貸し付けを行なう制度です。
最寄りの地方公共団体の福祉担当部署が窓口となっています。
「償還免除付のひとり親家庭住宅支援資金貸付」は、対象者に住宅借り上げの必要資金を貸し付ける制度です。
対象者は、児童扶養手当の支給を受けているか、それと同等の所得水準にあるひとり親、または、母子・父子自立支援プログラムの策定を受けて意欲的に自立に取り組むひとり親です。
その他の制度
そのほか、利用者がかなり限定される3つの制度を紹介しておきます。
「求職者支援資金融資」は、求職者支援制度の職業訓練受講給付金を受給してもなお生活費が不足する方にお金を貸す制度です。
ハローワークで求職者支援資金融資要件確認書の交付を受け、労働金庫で手続きします。
「臨時特例つなぎ資金貸付制度」は、住居のない離職者が、離職者支援の公的給付や公的貸付の申し込み後、お金が入るまでのつなぎとして借り入れできる制度です。
本人名義の金融機関口座を持っていることが条件で、窓口は市区町村の社会福祉協議会です。
厚生労働省「求職者支援資金融資のご案内」
厚生労働省「臨時特例つなぎ資金貸付制度」
「看護師等修学資金」は看護師の確保を促すための制度で、看護師などの養成施設に在学する生徒が支給対象です。
詳細は、各自治体のホームページをご覧ください。
即日借入は可能?公的融資4つの特徴
公的貸付のほとんどは生活に困っている方を支援するための制度で、原資は国庫です。
そのため、以下のような特徴があります。
金利が低い、または無利息
公的貸付は営利を目的としないため無利息の制度が多く、付利される場合も民間金融機関に比べて格段に低い金利が適用されます。
生活福祉資金貸付では、緊急小口資金と教育支援資金は無利息で、不動産担保型生活資金には長期プライムレートと年3%のいずれか低い利率が適用され、その他の貸し付けについては保証人がいれば無利息、いなくても年1.5%です。
臨時特例つなぎ資金も無利息、求職者支援資金融資は年3.0%などとなっています。(いずれも2022年12月1日現在)
審査通過率が高い
公的融資においても、借りたお金を返せるかどうかは審査されます。
しかし、制度の対象者が限定されているうえ福祉目的であるため審査通過率は高めで、90%超ともいわれます。
大きな特徴は、無職であっても制度を利用できるという点です。
それに対して、消費者金融などの民間金融機関では、有職または何らかの安定した収入がなければ借り入れできません。
必要書類が多い
公的融資は申込要件が複雑な分、必要書類が多い傾向があります。
例えば生活福祉資金貸付では、以下のような書類が必要です。
- 本人確認書類
- 給与明細・源泉徴収票など所得が把握できる書類
- 税金の納付状況が把握できる書類
- 債務状況が把握できる書類
- 保証人の所得が把握できる書類(保証人を立てる場合)
- 社会福祉協議会が求める書類
詳細については各制度の受け付け窓口で相談すれば確実です。
借り入れまでの日数が長く、即日借り入れはできない
制度の主旨に沿って対応し、不正な借り入れを排除するため、公的融資の処理には時間がかかります。
最も早く借りられる緊急小口資金でも最短で3日から1週間、臨時特例つなぎ資金で貸し出しまでに1週間くらいかかります。
手続きに1ヵ月かかる前提で申し込んだほうが良いといわれるほどなので、即日お金が必要な場合には別の手段を考えなければなりません。
即日お金を借り入れできる可能性のある「消費者金融」
即日、または早めにお金を借りたい場合には、消費者金融が便利です。
とはいえ、消費者金融にマイナスイメージを抱く方も少なからずいるでしょう。
ここでは、消費者金融が金融庁の監督下で法に則って営業していることと、違法な業者を見分ける方法について解説します。
消費者金融は「サラ金」ではない
多重債務問題への対策として、貸金業を適正化する改正貸金業法が2006年に公布されました。
これにより、貸金業登録要件の厳格化、取立規制など行為規制の強化、行政による監督強化などが次々に実行されます。
利息制限法と出資法がそれぞれ定める上限金利の差から発生していたグレーゾーン金利も撤廃されました。
グレーゾーン分の利息を遡って返還請求する「過払い金請求」と一連の規制強化のため、かつて「サラ金」とも呼ばれた消費者金融の多くが淘汰されていきます。
現在登録事業者となっている消費者金融は、厳しい規制をクリアして法に則り営業している事業者です。
また、現在アコムやプロミスなど大手消費者金融の多くは銀行傘下となっています。この事実も消費者金融の信頼性を裏付けているといえるでしょう。
聞いたことのない消費者金融は登録の有無でチェックできる
大手消費者金融も、あまり知られていない中小消費者金融も、貸金業法に従う同じ業態です。
法に基づいて業務を行なっている貸金業者のホームページには必ず貸金業者登録番号が記載されており、金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」などでも確認できます。
登録がない事業者は、いわゆるヤミ金融なので、利用してはいけません。
実在の消費者金融に似た社名を語る事業者や、なりすましにも注意が必要です。
ヤミ金融は、20%を超える高金利を提示したり、無職無収入でも審査不要で借りられるなどの甘言を用いたりしますが、これらはすべて法令違反です。
このような業者にはとりあわず、借り入れできる先がない場合こそ公的機関に相談しましょう。
即日お金を借りられる消費者金融の選び方
どの消費者金融でも即日お金を貸せるわけではありません。
即日融資に力を入れている事業者もあれば、そうでない事業者もあります。
以下のような条件を満たせば即日融資の可能性は高くなります。
借入先を選ぶ際に確認しましょう。
- 近くに店舗があり、即日融資の手続きができる
- 近くに店舗がない場合、インターネットで手続きできる
- 郵便物のやり取りをしなくて良い
- 審査スピードが速い
- 在籍確認を簡単に済ませられる
- 保証人がいらない
「いつも」のフリーローンはWeb完結で即日借り入れ可能
「いつも」は、即日融資に力を入れている消費者金融です。
「いつも」の会社概要とフリーローンについて紹介します。
消費者金融「いつも」とは?
「いつも」は、株式会社K・ライズホールディングスが運営する消費者金融業者で、店舗は高知県高知市にあります。
貸金業者登録番号は「高知県知事(3)第01519号」(2022年12月現在)、日本貸金業協会の会員番号は「第005847号」です。
登録番号にある(3)は登録の更新回数を表しています。
初回登録時は(1)で、3年に1度の更新ごとに数字が増えていきます。
ただし、「いつも」の開業は1993年で、(3)は株式会社K・ライズホールディングスに吸収合併された2014年を1とした数字です。
もともと地元密着型の企業でしたが、近年はWeb申し込みの体制を整えて全国展開しています。
郵送でのやり取りやカード発行もなく、即日融資を可能にする条件を備えています。
「いつも」のフリーローンの特徴
「いつも」のフリーローンの融資対象者は、申し込み時点の年齢が20歳以上65歳以下で、本人に安定した収入がある方です。
1度審査に通れば、2回目以降はWebからの申し込みで即時に限度額内借り入れができます。
商品の概要は下表のとおりです。
「いつも」フリーローン 商品内容 | |
貸付利率 | 4.8%~18.0% |
契約額 | 1万円~500万円 |
返済方式 | 借入金額スライドリボルビング方式 |
返済期間 | 5年 |
返済回数 | 5年(60回)ごとの自動継続 |
資金使途 | 自由 |
「いつも」のフリーローンは、はじめての契約で60万円以上の借り入れをする場合に最大60日間無利息になるという、中小消費者金融には珍しいサービスが特徴です。(ただし、審査内容によっては希望に沿えない場合があります。)
「いつも」フリーローンの手続き方法と必要書類
申し込みから借り入れの流れは下表のとおりです。
1 | お客様 | ・Webからローン申し込み |
2 | いつも | ・審査結果を電話かEメールでお客様に連絡 ・必要書類の案内、契約内容の説明 ・ネットプリント予約番号を連絡 |
3 | お客様 | ・契約書類をセブンイレブンでネットプリント出力 |
4 | お客様 | ・契約書類などをFAXかEメールで「いつも」へ送付 |
5 | いつも | ・銀行口座またはネットバンク口座に資金を振り込み |
「いつも」の営業時間は平日9:30~18:00で、原則として18時までに受け付けた申し込みは当日中に審査・貸し出しまで対応しています。
ただし、受付順で対応するため、遅い時間に申し込んだ場合は、処理が翌営業日になることがあります。その日のうちにお金が必要な場合は、早い時間の申し込みがおすすめです。
まとめ
公的融資は民間の融資に比べて金利面などで優遇されますが、申請から借り入れまでに時間がかかることが難点です。
即日借り入れる必要がある場合は、消費者金融の利用を検討しましょう。
スピード対応が特徴で、フリーローンは最短30分で融資できる場合もあります。
名前:金子 賢司(かねこ・けんじ)
所有資格:CFP住宅ローンアドバイザー/生命保険協会認定FP/損保プランナー
おもなキャリア:東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強をはじめる。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。