子どもが高校に進学するのはうれしい反面、入学金が払えないかもしれないと不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
入学金が払えないときの対処法には、一般貸付や金融機関からの借り入れなどおもに5つの方法があります。
この記事では、入学金を払えないときの対処法を5つ紹介します。
また、公立高校と私立高校の入学金や支払い期限、その他の費用内訳なども解説します。
高校の入学金は公立・私立で異なる
入学金を払えないときの対処方法を知る前に、公立高校と私立高校それぞれの入学金について正しく把握しておきましょう。
公立高校の入学金はほぼ一律
公立高校の入学金は、全国43都道府県で5,650円に統一されており、福岡県・佐賀県・鳥取県・長崎県のみ5,550円です。
ほぼ一律の金額となっているため、事前に用意しておくべき費用に大きな違いはありません。
私立高校の入学金相場
一方、私立高校の入学金は学校ごとに異なります。
文部科学省の「令和3年度私立高等学校等初年度授業料等の調査結果」によると、私立高校の入学金の全国平均は16万3,279円となっています。
しかし、東京都の私立高校232校を対象とした調査では、令和4年度の入学金平均額は25万4,277円です。
入学金が最も高い高校で50万円、最も安い高校で10万円と、40万円もの差があります。
このことからもわかるように、入学金は地域や学校ごとに大きな差があります。
自分の子どもが志望する高校で、どの程度の入学金が必要か、事前に調べておくようにしましょう。
高校は入学金以外にも支払いの負担が大きい!
高校では、入学金以外にも授業料や教科外活動費など複数の項目で支払いが発生します。
ここからは、公立高校と私立高校の年間にかかる支払い内訳と、補助学習を行なう場合の費用を見ていきましょう。
公立高校でかかる年間費用28万円程度
公立高校で年間にかかる支払い負担額の平均は、28万487円です。
以下の表で内訳を確認しましょう。なお、下表の学校納付金等は、入学金も含んだ金額です。
項目 | 金額 |
---|---|
授業料 | 2万5,378円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 3万5,579円 |
学校納付金等 | 5万5,360円 |
図書・学用品・実習材料費等 | 4万1,258円 |
教科外活動費 | 4万427円 |
通学関係費 | 7万9,432円 |
その他 | 3,053円 |
合計 | 28万487円 |
上記の表で最も高いのは通学関係費の7万9,432円で、全体の比率では28.3%を占めています。
通学関係費とは通学時の交通費や、制服・鞄など通学用品の購入に必要な費用のことです。
私立高校でかかる年間費用は72万円程度
一方、私立高校でかかる支払いの平均額は、年間71万9,051円です。費用内訳を、以下の表で確認しましょう。
項目 | 金額 |
---|---|
授業料 | 23万26円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 5万3,999円 |
学校納付金等 | 21万5,999円 |
図書・学用品・実習材料費等 | 4万2,675円 |
教科外活動費 | 5万6,224円 |
通学関係費 | 11万4,043円 |
その他 | 6,085円 |
合計 | 71万9,051円 |
私立高校の費用で最も高いのは授業料の23万26円で、全体の32.0%を占めています。
次に高いのは学校納付金等の21万5,999円で、こちらは全体の30.0%を占めます。
学校納付金等とは、入学金や入学検定料、施設整備資金などを含めた費用の総称です。
入学金は、受験する高校によって大きく差があるため、高校によっては年間の支払い額が上表より大きく上回るケースもあるでしょう。
補助学習を行なう場合も費用が必要
学習塾に通わせるなど補助学習を行なった場合は、入学金や授業料といった学校でかかる費用以外にも多くの費用が必要です。
以下は、第1学年~第3学年までの平均費用です。
項目 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
学習塾費 | 10万6,884円 | 12万9,313円 |
家庭教師費等 | 1万2,836円 | 2万20円 |
家庭内学習費 | 1万6,769円 | 2万7,205円 |
上記の表の通り、公立と私立のどちらも学習塾にかかる費用は高めです。
子どもの学習意欲に応えるためにも、補助学習の費用をすぐに用意できる対処法を知っておくとよいでしょう。
高校の入学金はいつまでに払うべき?
ここからは、高校の入学金やその他の諸費用の支払い期限、延納制度について解説します。
支払い期限は学校ごとに異なる
入学金や学費の納入、入学手続きは、原則として高校の合格発表後すぐに行なう必要があります。
実際の入学金の支払い期限は、学校ごとに異なるため、志望する高校の期日は事前に調べておきましょう。
入学時に必要な費用は、学校によって差があるものの、どの学校に入学するとしてもまとまったお金が必要になる点は変わりません。
入学する学校の支払い期限を把握し、必要なお金をしっかりと確保しておきましょう。
延納制度を使えるケースも
私立高校のなかには、延納制度を設けている学校もあります。
延納制度とは、公立高校と併願受験する学生を考慮して、入学金やその他の学費を納入する期間に猶予を与える制度です。
延納制度の手続きは、学校によって以下のように異なります。
- 前納金支払いと延納手続きが必要
- 前納金支払いは不要だが、延納手続きは必要
- 前納金支払いと延納手続きが不要
前納金とは、前もって支払う入学金もしくは入学金の一部を指します。
一般的に、延納制度を適用すると、公立高校の合格発表後まで納入期限の猶予ができます。
ただし、延納手続きが必要な学校の場合、期限までに手続きをしておかないと合格が取り消しになる恐れもあるため、注意しましょう。
支払わないと進学できない
仮に延納制度を適用した場合でも、最終的には入学金を含めた学費を納入しなければ進学できません。
学校ごとに違いはあるものの基本的には一括払いとなるため、入学金やその他の諸費用の合計金額は必須といえるでしょう。
なお、文部科学省の「高等学校教育の現状について」によると、令和2年度の高校進学率は98.8%と高い比率となっています。
高校の入学金を払えないときの対処法5選
この項目では、高校入学金および諸費用を支払えないときに役立つ5つの対処法を紹介します。
教育一般貸付を利用する
まず1つ目の対処法は、教育一般貸付を利用する方法です。
教育一般貸付とは、日本政策金融公庫が提供している制度のことで、国の教育ローンとも呼ばれています。
子ども1人あたり年利1.65%で上限350万円まで借り入れできることが特徴です。
ただし、制度適用できる世帯年収には上限が設けられており、子ども1人なら世帯年収が790万円まで、子ども2人なら世帯年収が890万円までと規定されています。
また、自宅外通学や海外留学など一定の条件を満たせば、上限450万円まで借り入れが可能で、上限350万円の場合と同じく年利は1.65%です。
母子・父子家庭や世帯年収が200万円以内の場合は、優遇制度として年利が1.25%まで引き下げられ、返済期間も通常の15年から18年まで拡大されます。
母子・父子家庭であれば保証料も3分の2に減ります。
奨学金制度を利用する
2つ目の対処法は、奨学金制度を利用する方法です。
おもな2つの奨学金制度について、以下で解説していきます。
高校生等奨学給付金は、生活保護世帯もしくは住民税所得割非課税の年収約270万円未満の世帯を対象とした支援制度です。
この制度を適用することで、授業料以外の教育費に対する支援が受けられます。
支給金額は約3万円~15万円の範囲で、子どもの人数や構成年齢に応じて金額は変わります。
以下で例を見てみましょう。
- 子ども一人世帯の場合:国公立で11万100円、私立で12万9,600円
- 多子世帯(※)の場合:国公立で14万1,700円、私立で15万円(第2子以降)
※扶養されている中学生を除く15歳以上23歳未満の兄弟姉妹がいる世帯
上記のように世帯構成によって給付額は変わるため、申し込みの段階でチェックしておくとよいでしょう。
高等学校等就学支援金制度は、年収約910万円未満の世帯が対象で、授業料を支援する制度です。
国公立の支給額は約12万円で、対象世帯であれば年収に関わらず一律です。
私立の場合は、世帯年収に応じて支給金額が異なります。
私立高校の支給額は、保護者等の年収が約590~910万円の範囲で約12万円、約590万円未満で約40万円となっています。
なお、この制度は高校生等奨学給付金と併用もできるため、必要に応じて利用しましょう。
自治体の支援制度を利用する
3つ目の対処法は、自治体ごとの支援制度を利用する方法です。
住んでいる自治体に支援制度がある場合、適切に利用することで教育費の負担を軽減できます。
例えば、埼玉県の「父母負担軽減事業補助金」は、全日制の私立高校に通う生徒を対象とした補助金制度です。
制度を適用するためには、以下3つの要件を満たしている必要があります。
- 生徒と保護者のどちらも埼玉県内に在住している
- 生徒が埼玉県内の全日制の私立高校に在学している
- 規定の所得基準を満たしている
これらの基準を満たしたうえで適用となれば、入学金や施設費等納付金などに関する補助金が支給されます。
また、大阪府にも「授業料支援補助金」という支援制度があり、所得区分に応じて補助金を受給できます。
受給する条件は、「就学支援推進校に在籍」「生徒と保護者が大阪府内に在住」などです。
金融機関を利用する
4つ目の対処法は、銀行や信用金庫など金融機関が提供している教育ローンを利用する方法です。
金融機関の場合、手続きが簡単であったり、国や自治体よりもスピーディな融資が可能です。
ただし、金融機関によっては、前年度の税込年収が200万円以上など基準を設けているケースもあります。
自身の年収など、必要条件をクリアできているかの事前確認は必須といえるでしょう。
キャッシングで不足分を補う
国や金融機関のローン借り入れで工面できない入学費用は、消費者金融のキャッシングを利用して補う方法もあります。
キャッシングのメリットは、借り入れまでの手間が少なく、融資も早く受けられる点です。
国や金融機関などから借り入れる場合、融資まで時間がかかるケースがあります。
例えば、教育一般貸付では、申し込みから審査結果の連絡まで10日前後かかるうえ、融資まではさらに期間が必要です。
一方、消費者金融であれば即日融資できる可能性も高く、急ぎのケースでも入金に間に合いやすいでしょう。
もしも入学金が期日までに払えないと、入学そのものが取り消しになる恐れもあります。
即日融資に対応している消費者金融も候補に入れて、納入期日までに入学金を用意しましょう。
金融事故があるとローン審査に通りづらいので注意!
教育一般貸付や金融機関からのローン借り入れを検討している方で、過去に金融事故を起こしている方は、ローン審査に通りづらいため注意が必要です。
金融事故とは、借り入れ金を減額する任意整理や、借り入れ金の返済を免除する自己破産などを指します。
金融機関の利用に関する個人情報は、JICCやCIC、KSCなどの信用情報機関に保管されており、金融事故の履歴は5~10年経過するまで信用情報から削除されません。
そのため、過去に金融事故を起こしていると、ローン審査に通らない可能性があるのです。
記録が残る期間は金融事故の種類によって異なり、任意整理の場合は3つの信用情報機関で5年記録が残ります。
また、個人再生と自己破産についてはKSCが10年、JICCとCICは5年記録が残ることになります。
入学金の納入期日までにお金を用意するためにも、金融事故の有無なども考慮したうえで、適切な借り入れ先を検討しましょう。
まとめ
高校に入学する際は、公立高校で28万円程度、私立高校で72万円程度のお金が必要です。
入学金が払えない場合の対処法として、教育一般貸付や金融機関のローン借り入れ、支援金制度を利用する方法があります。
ただし、金融事故を起こした場合はローン審査に通らない恐れもあるため、注意しなければなりません。
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最大500万円まで借り入れできるので、入学金の不足分を工面したいという方はぜひお気軽にご相談ください。
名前:金子 賢司(かねこ・けんじ)
所有資格:CFP住宅ローンアドバイザー/生命保険協会認定FP/損保プランナー
おもなキャリア:東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務めるなか、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強をはじめる。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。